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(2000.3/20作成)
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保健的野菜の育種
高6回 渡辺 頴悦
 昨年三月、北陵会で浅学を省みずバイテク絡みの育種の話をさせていただきました。
高校時代の恩師、小野先生、佐藤先生、市山先生もご出席下さいまして大変嬉しく存
じますとともに、少々照れくさい思いをしたことを覚えております。
 さて、日本はいまや世界一の長寿国、急速に高齢化社会になりつつありますが、人々
の願いは「健康で長生きすること」に集約されております。健康を維持するためには
適度の運動や休養が必要であり、適切な医療も欠かせませんが、基本的には「毎日の
食べものがその人の健康をつくる」という見解に異論をはさむ人はおりません。
 どんな食べものが一番望ましいかといいますと、身土不二という考え方からすれば、
その人の生活をしている場所にできたもので、その季節季節に合ったもの、つまり旬
のものを食べることだといわれております。
 ところが日本ではいま飽食の時代を迎えて、世界各国の料理はもちろん、一年を通
してほとんど全ての食べものが好きなときに食べれれる状態にあり、大部分の人は旬
など気にかけなくなっています。工業化社会もそれに拍車をかけています。冬の暖房、
夏の冷房・・人々は季節感を薄め、冬にスイカやメロンを食べて生活の秩序とリズム
を狂わせてしまっています。そのせいか、最近は「半健康人」が多くなったといわれ
ております。しかし、こうした流れはもはや変えがたいところまで来ておりますので、
一歩退き「現代風生活の中でのより健康的な食べもの」を育種することが私達種苗業
者の大きな課題になっております。
 野菜でいえば、おいしくて病気に強いものが保健的ということになります。美味し
いその野菜が健康に育ち、ビタミンやミネラルの含量が高く、活性化されているアミ
ノ酸も多いというバローメーターとなり、それを食べる人が味覚を満足させつつ充分
に必要成分を摂取することにつながります。また、病気に強いということは、人体に
時として有害な毒性のつよい農薬をあまり使わなくても栽培できるとか、害の少ない
農薬だけで間に合せられることを意味します。もちろん、より保健的な野菜の生産は
育種だけでできるものではなく、健全な土づくり、適切な栽培法、さらには、”本物
の野菜”に対する消費者の認識など、いろいろな要素がかみあってはじめて可能にな
るものですが、それにしても品種の果す役割は大きく、わが社でも常々おいしくて病
気に強い野菜の育種に努力しております。
 どうか北陵会の皆様方も、保健的立場から野菜や果物を考え、本物をたくさん食べ
て、健康的な毎日をすごしていきたいものです。
 北陵会の益々の発展を祈念しております。
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