国際社会に通じる
人づくりを | |
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高3回 平間 久雄 |
わが国は人の交流面でも、急速に国際化しつつある。昨年、海外渡航した日本人は
東京オリンピックが開催された昭和39年の約4倍に相当する495万人で、日本人 のおよそ24人に1人の割合である。政府の見通しによれば、これが昭和75年には、 今の3.5倍に当る年間1,500万人にふえる。逆に日本に訪れた外国人は、昨年 200万人であったけれども、同じく15年後にはその11倍の2,300万人に達 するという。つまり、海外に出て行く日本人より、日本を訪れる外国人の方が多くな るということである。 わが国の最近における国際的位置づけをみると、面積では世界の陸地面積の0.3 %、人口は世界の50億人に対し2.4%、GNPは10%、そしてOECDの 1984の年次報告によれば、1人当りのGNPは1万ドル(年平均の1ドル237 円55銭で計算)を越え、自由世界で第9位であった。ところで、経済企画庁の発表 によれば昭和60年の日本の1人当り名目GNPは11,190ドルで、同じくアメ リカは、16,702ドルであった。これは60年の平均為替レート、1ドル235 円によって計算したものであり、最近の円高定着基調のなかで、仮に1ドル157円 50銭とすれば、日本人の1人当りのGNPは世界1位のアメリカと同じとなり、わ が国は世界でも最も豊かな国であることが現実のものとなっている。 このような時勢にありながら、日本人の語学力は誠に貧弱であり、国を代表する国 会議員や政府高官で通訳なしに外国の要人と話し合える人は、極く少数だと言われて いる。逆にヨーロッパでは、知識人ばかりでなく実業界で活躍している人々は、訪れ た日本人を迎えると、先ず「何語で話しあいましょうか」と切り出して来る。つまり、 彼等は英・仏・独の3カ国語なら何れでも話せる素養を身につけているのである。こ のように言葉の点では日本はヨーロッパに比較して、おそらく200年以上は遅れて いるのではあるまいか。 若いうちに国際感覚を身につける意義の大きいことを、「フルブライト奨学金制度」 の実績が教えてくれている。この制度によって日本からアメリカに留学した人々は、 30年の間に5,800名を越えている。そのうち、現在わが国の枢要なポストで活 躍している方々は多く、例えば国立大学の学長27名、大学教授760名、国会議員 7名、大使35名、最高裁の裁判官3名、そして実業界では100名を越える上級管 理職等、枚挙にいとまがない程である。 語学は若いうちに、外人教師の指導を受けるに限るわけで、これからは一生のうち に、平均数回海外に出掛けることが当り前になることを考えると、高校に外人教師を 招聘することは焦眉の急であると思う。円の実力が認められている昨今の事情からす れば、二高の生徒1人当りの月額千円も負担すれば、国際社会で通用する人材づくり に不可欠な語学教育のため、外人教師2人位は招聘出来るのではあるまいか。 |
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