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(2000.3/28作成)
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ヘンな人たち
高1回 上田 朗
 私はあんまり人づきあいが良くないほうですので、人の家を訪ねたりすることはあ
まりないのですが、私の家へは、よくへんな人たちが来ます。街でのんで、酔っぱら ったりすると、ひょこっと私を思い出して、ちょっと顔見せに行ってやっか、となる
らしいのです。
 A氏は、玄関の前で、大声で「オーイ、だめな男は居るかぁ!だめな男ぉ!」と叫
びます。考えてみますと、失礼な話ではありますが、私は怒りません。実は、その通
りだからです。
 B君は、数人の仲間といっしょにガヤガヤとやって来て、散々いばった揚句寝てし
まいます。ひっぱろうが、けとばそうが金輪際起きません。早朝に目覚めて、女房に
平謝まりしてコソコソ帰ってしまいます。数日たつと、そっと、なにかもって来て、
玄関におき、逃げるように帰って行きます。品物は、山菜だったり、山の芋だったり、
油あげだったり、ざくろだったりします。先日別な友人から電話があって「今、わき
でBがねてるんだ。」と言うので「きっと、明日の朝まで起きないよ。」と言ってや
りました。案の定、そのまま朝まで寝ていたそうです。
 C君は東京在住なので、めったに来ませんが、来ると大変です。部屋の畳を一枚、
庭に出して立てかけ、奇声を発しながら、手裏剣の実演をやって見せます。それを見
せたくてわざわざ東京からやって来るのです。こないだ電話があって、今、火なわ銃
にこっているんだ、と生き生きした声で話してました。心ひそかに、来なきゃいいが、
来るとこれは大変なことになるぞ、とおそれています。
 話はかわって、私がよそにおじゃました時のことです。D氏の家に、ある晩、数人
集まりました。D氏が翌朝玄関を見ると、見なれない汚い下駄が一足残っていたそう
です。数日後、街でD氏に会ったら「あの下駄、あんたんだろう。」と私にいいます。
「俺のじゃない。俺のにはちゃんと焼き判が押してあるから。」と言いますと、「じ
ゃ、誰んだろ。」とふしぎがっています。私はそんなことより、その人物が、あの晩、
何をはいて帰ったのかがふしぎに思えます。ほかの靴とかスリッパとかがなくなって
ないか調べて見たら、と言ったら「靴だの、スリッパなんて、そんなもの一々覚えて
るもんか。」とにべもない返事でした。それから数日たってまた彼に会ったら、珍し
くも下駄をはいてます。ききますと、「あ、これだよこないだの下駄は。健康に良い
んだよ。下駄ばきは。」とニコニコしています。下駄の所有権は移動したのです。
 こういうへんな人たちと、私は日常つきあってるのですが、へんでないのは、私だ
けか、とひそかに自負しています。
 この人たちは、大体、画描きやカメラマンなどです。芸術家と言えばきこえは良い
のですが、あまり生産的ではない人々のようです。
 こういう人々といっしょに居る時、妙に安心して落着いていられる自分を発見しま
す。私もそうだからなのでしょうか。
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