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(2000.3/19作成)
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”国際化”雑感
高7回 阿部 博之
 ”国際化”にこれだけ熱心で、外国語に不得意な国も珍しい。しかし実は国際化に
相当する英語はないそうである(学士会会報1986−V・P23)。国際という言
葉にしてもヨーロッパと日本では意味がかなり異なる。
 国際会議ばやりである。商売柄ときどき組織委員をたのまれる。米国でいわゆる先
端技術の国際会議を行うと、日本から多くの企業人が参加する。しかし大部分は聞く
だけで発表はしない。日本企業は情報集めにのみ熱心で出したがらない、との批判が
ある。
 卒業生を企業におくるとき、国際会議に出席するときはかならず発表しなさい、社
外秘を避けて発表すればよいわけで、発表はむしろ企業のPRになると話すことにし
ている。
 昨年四月、米国を講演旅行する機会に恵まれた。貿易問題で巷に議論があふれてお
り、誤解も沢山あったが、日本人は一般にほとんど主張していなかった。黙っている
と非を認めたことにもなろう。たまたま中曽根首相による百ドルの買い物のすすめの
ニュースがあった。そこで次のような雑談をして歩いた。
 日本のワーカー(男)の大部分は給料をすべてワイフに渡している(欧米では考え
られないことである)。ひと昔前までは、ひと月に一度給料日には家族から感謝され
たが、最近は銀行振込で父親の権威はますます薄れている。日本にもっと買ってもら
いたければ、ワイフ族が何を欲しがっているのか、まず研究しなさい。
 彼等は感心して聞いている。もちろんこれで貿易問題が解決するわけではないが、
なる程という雰囲気になる。外国で日本人に会うと、何でもいいから日本について説
明しなさいと勧めることにしている。
 それでも戦後四十一年付き合いが密であったためか、米国人の気質は大分理解でき
るようになった。それに反して隣国人の考え方には戸惑うことが多く、先方も同じ気
持であろう。七年間留学し、最近台湾に帰った学生から次のような話を聞いた。
 日本は資源小国である。したがって頑張らなければならない。よく聞く言葉である
が、日本人だけが頑張るという思想に繁がり、外国人からみて排他的に映る。外国人
と仲よくしながら生きていくべきではないかろうか、と。
 NHKテレビ「はね駒」のおりんちゃんが仙台のミッションスクールで勉強をはじ
めた頃である。父親は「日本人が何で外国語の言葉を勉強する必要があるか」、と怒
った。一笑に付し去る人が多いと思うが、実は現在でも類似の一見正しい主張が国際
化をゆがめてはいないだろうか。
 同じ明治時代の話である。司馬遼太郎氏の大作「坂の上の雲」を読むと、明治の指
導者達が多数しかも長く外国に滞在して、如何に外国を知ることに熱中し、外国を受
け入れ、また日本を正当に評価してもらうべく努力していたかがよくわかる。この点、
外国に簡単に行ける現代の方が劣っているような気がしてならない。
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